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て、囲壁外への突起を防き、“カゴ”等による作業性の向上を図る。
?D甲板上に敷板を設け、船体上甲板の保護を図る。これにより、漁具、用具等に起因する損傷は大幅に減少し、保守費の節約となる。
?E船内の一次動力源を油圧に統一することにより、動力システムの簡素化及びメンテナンス性の向上を図る。
?F機関排気は船尾排気とし、煙害を防止する。
ということである。
以上の特徴を踏まえて、二つの船についての概略一般配置図(次ぺージ「概略一般配置図」参照)及び概要船価表を作成し、併せて両船のイメージパースを描いた。
2−4 おわりに
道内における漁船造修を取り巻く環境は厳しいが、今後にあっても、あらゆる漁業が資源管理型漁業に移行している現在の潮流の中で派生する、沖合漁業と沿岸漁業の資源水準に見合った操業体制の構築過程で、漁船隻数が現在の水準よりもかなり少なくなることが予想されることから、漁船の造修需要は構造的な縮小状況か続くものと見込まれる。
こうした状況にあるにもかかわらず、道内の中小造船所が従来と同様の漁船造修依存姿勢を続ければ現状維持すら危うく、需要減少に伴う競争激化により淘汰される造船所が多数出てくるものと考えられる。こうした事態を回避するためには、基本的には自助努力で新たな需要先を開拓し、漁船造修の減退をカバーすること、さらに望めば、道内の中小造船業界を支えるもう一本の柱となる事業分野を早急に確立していくことが必要である。
本調査研究では上記の認識の下に、海洋土木作業船市場への参入と、資源管理型漁業に対応した漁船等の開発による漁船市場での新たな対応を検討し、作業船と新しい漁船の分野で相当量の新規需要か存在することも明らかにした。従来からの漁船造修需要が減退していることは事実であるが、こうした新規需要分野を的確に捉え、着実に取り込んでいくことによって、必ず厳しい現状を打破できるものと考える。「道内の造船所は漁業者の漁船についての話を聞いてくれない。」ある漁業協同組合の一人が語ったこの言葉の中に、端なくも造船所の営業姿勢が浮き彫りにされている。営業に当たっては「顧客本位」の発想に立脚した活動を行う必要があることを再認識すべきであろう。
関係各位が本調査研究の趣旨を理解し成果を活用して、道内の中小造船業か活性化するための取り組みを強化することを期待するものである。

 

 

 

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